●オーガニックキッチンの立ち上げについてお聞かせください
立ち上げ当初は、新宿で美や健康にこだわりを持つ働く女性を対象に、お弁当の路上販売をしていました。オーガニックキッチンのお弁当が支持されるようになると、企業内の食堂にも置いてもらえるようになりました。その食堂を利用したお客さまが、また別の企業の友人へ紹介していただき、オーガニックキッチンのお弁当は口コミで広がっていきました。そのような中、健康を意識した卸売業者さまの目にとまり、お弁当の販売量は次第に増えていきました。

●順調なスタートを切ったのですね
そうですね、しかし、コロナで在宅ワークが増え、オフィス街から人がいなくなり、売り上げの柱であった食堂向けのお弁当が10分の1まで激減しました。何か他の手を考えないといけないと思い、自社ＥＣサイトを立ち上げ、そこで冷凍弁当を販売することにしましたが、安定した売り上げにはなりませんでした。
この危機を乗り越えるため、食材の見直しでコストカットしたお弁当を提供すべきか悩みました。しかし、「作り手（生産者）の想いをお弁当に込めたい」という気持ちで、これまでと同じ生産者から仕入れ続けました。「なぜその食材でなければいけないのか」を従業員に向けて繰り返し説明することで、オーガニックキッチンの理念である「身体にやさしいお弁当つくり」が社員全員に浸透し、みんなの理解を得ることで危機を乗り越えることができたと思います。平田さんの油についても「安い油との違いは無いですよね、なぜ使わないといけないの？」という声もありましたよ。

●大変な時期があったのですね。平田の油の違いについてはどのように説明されたのでしょうか。
他の油と比べ、「胸焼けしない」「酸化した味がしない」こと、「調味料は昔から造り続けているメーカーを選ぶ」こと。この3点を社員に説明しました。
身体にやさしいお弁当つくりを継続していった結果、東京大学教育学部附属中等教育学校の先生からお声かけをいただきました。

●学校給食の話を詳しく教えてください。
先生から、「毎日コンビニ弁当を持参してくる生徒がいる。栄養バランス、食材・調味料にこだわったお弁当を子供たちに食べて欲しいので協力してもらえないか」と言われたのがきっかけです。毎日製造するお弁当の数だけでも悩ましいところ、さらに、「毎朝8時まで注文できる体制を作ってほしい」といわれ当初は対応が難しく諦めようと思いました。しかし、私たちは「心とカラダが喜ぶ」食シーンを作ることも大切にしています。生徒さんが化学調味料や保存料などを含まないお弁当を食べる機会はそう多くありません。より多くの生徒さんや保護者の方々に知ってもらいたいという一心で、提供できる仕組みを探しました。調べていくうちに使いやすいネットショップ型のプラットフォームを発見し、今はホームページから毎日の注文を受け、生徒さんにお届けしています。

●今後の活動予定について教えて下さい
都内お弁当販売のとき、新宿のOLさん達から、「お弁当は安さで選ぶのではなく、身体のことを考えた弁当を買っていますよ」と声を掛けてもらいました。そんな想いを持つ方々に、自信を持って食べてもらえるオーガニック弁当を今後も作っていきます。また、食材は生産者の顔が見えるものだけを採用し、「作り手の想いが詰まった旬のもの」をお客様へ届けていきたいと考えています。

【オーガニックキッチン】

・2007年に西邨マユミ氏に出会い、心も体も元気になる食を提供したいと決心。
・2009年から農薬や化学肥料を使わないお弁当作りを始める。
・以降はビーガン弁当、The低糖質弁当、ととのう弁当など、個人のライフスタイルに合わせた弁当を考案し販売している。
モットーは、「農家もお客様も私達オーガニック・キッチンも地球環境もよい！」